TCH(嚙みしめ癖)
TCHは、歯ぎしりや歯を食いしばる状況とも違って、意識せず上下の歯が軽く触れている程度の状態をいいます。日常生活の中でついやってしまっている癖のことで、自覚がなくても何かに集中すると知らず知らずのうちにしている可能性が高いとされています。
TCHの症状
歯に持続的かつ長時間、力が加わることにより歯や周囲組織にダメージを与え以下のような症状を起こします。
①治療した詰め物、被せが欠けたり、外れる。
②歯に亀裂が入ったり、欠けや割れを起こす。
③歯の根元(歯茎の近く)に、くさび状の削れを生じる。
④歯のぐらつきを生じ、歯周病を悪化させることもある。
⑤頬に白い筋状の圧痕が付き、血豆ができることもある。
⑥舌の側面などに圧痕が付き、口内炎の原因にもなる。
⑦歯茎の変色(歯茎のうっ血)、歯茎の退縮、クレフト(裂開)
これらの症状は、日常の診療でよく出くわします。
いくつかが当てはまる場合は、TCHと診断してもよいと考えます。
また、長期にわたりあごの筋肉を過緊張状態にしてしまうことにより、顎関節症にも結び付くことが考えられます。
顎関節に長時間力がかかる→咬筋という筋肉が緊張状態に陥り疲弊→これを補おうと首や
肩などの筋肉が緊張して肩こりを認識→顎のずれを引き起こす。
これにより
①肩こり ②顎から異音が出る ③口が開かない ④顎に激痛が走る
つまり、顎関節症を発症
顎の接触部位である顎関節に絶えず負担がかかることで、周りの筋肉や関節に痛み感じ、ひどくなると口が開けられない状態にまで陥る病気が、顎関節症です。
最近その原因として注目されているのがTCHなのです。ストレスなどによりTCHを行うようになり歯と歯が触れている間中、顎関節に力をかけすぎていることで顎関節内の「関節円板」と呼ばれるクッションに負担がかかりこの部がズレを生じて、口が開きにくくなったり、激痛を生じるようになったりします。
TCHの改善方法
「歯を離して力を抜く」と書いた付箋を家の中、仕事場などに10か所以上貼る。
通常食事のみでの接触時間は20分くらいとされていますが、TCHのある人は数時間以上接触しています。
この付箋を見ることで接触時間がずいぶん改善され次第に症状が軽減されるようです。