ドライマウス
ドライマウス(口の渇き)
唾液の分泌が低下し口が渇くドライマウス(口腔乾燥症)は、下記のような原因で生じるとされています。
原 因
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加齢に伴う唾液腺の萎縮、更年期障害(女性ホルモンの影響)、噛む力の低下
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薬の副作用(薬物性) 降圧剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、抗うつ剤 などの5種類以上の薬の服用で発症が著明
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精神的ストレス(神経性による唾液分泌低下)
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口呼吸・過呼吸による蒸発性のもの
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高血圧、糖尿病、心不全、腎不全など内科的疾患によるもの
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シェーグレン症候群(自己免疫疾患)
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頭頸部への放射線障害治療後
症 状
本来唾液は、食物の消化、そしゃく、飲込み、口腔内細菌の保護、口腔粘膜の保護などの役割を果たしています。
ドライマウス(口腔乾燥症)になると、むし歯、歯周病のリスクが高まるほか、口の中の乾燥感・不快感や口腔カンジタ症などの感染症、味覚障害、舌の痛み、摂食・えん下障害、口臭、話しずらさなどの症状を引き起こします。
国内での患者数は800万人以上ともいわれ、上記のような原因により年齢的に50-60代の中高年が中心で、7-8割が女性との統計があります。
治 療
軽度のドライマウスの場合は、日常の生活習慣の改善で回復が期待できます。
〇水分補給について
食生活では、水分の多い食事、やわらかい食事をイメージしますが、これには注意が必要です。
つまり、これらの食生活でかえって嚙む回数が低下し咀嚼機能の低下や唾液分泌減少に結びつきます。
また、高齢になるほど水分補給が必要ではありますが、これが難しい場合は、こまめなうがいでお口の中を潤すだけでも有効です。
〇歯磨剤について
市販の歯磨剤に一般的に含まれている発泡剤(成分表示ではラウリル酸ナトリウム)は、お口の乾燥を引き起こす原因とされています。発泡剤の含まれないジェルタイプのものの使用や、歯磨剤の使用量の見直し、十分な洗口などが有効かもしれません。(フッ素配合、殺菌成分維持のための軽い洗口は、お口の中に発泡剤成分が残っている可能性も否定できません。)
歯磨剤に含まれている研磨剤もドライマウスを引き起こしている場合、お口の粘膜も非常にデリケートで傷つきやすくなっています。誤ったブラッシングと、この研磨剤でお口の中が傷つきやすいため注意が必要です。
〇洗口剤について
お口のケアーで、使われている洗口剤にも注意が必要です。
ストレートで使用する洗口剤(薄めないでそのまま使用するタイプ)の中には、高い濃度のアルコールを含んでいるものもあります。これが、お口の乾燥をさらに悪化させている場合も考えられます。
当院では、洗口剤は薄めるタイプのものを主として処方し、これを推奨しています。
〇唾液腺マッサージ
唾液を分泌する3大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)を指などでマッサージする方法です。
〇お口の保湿剤
軽度のドライマウスから使用することで、改善が期待できます。
持続的なケアーが必要ですが、対症療法として手っ取り早いおすすめの方法です。
口喝が著しい方や入れ歯を使用している方は、ジェル状の保湿液が効果的です。
日常的な対策として、
食事の前におしゃべりをするなど、唾液の量を増やす取り組みが効果的かもしれません。
また、東北大学の笹野高嗣教授は、昆布だし使って唾液の分泌を促す「唾液分泌促進法」で成果を上げているようです。
専門外来として、広島大学病院にドライマウス外来(2006年開設)があります。
ただし、根本的な治療が確立されているわけではなく、基本的には生活習慣の改善指導をしているのが現状です。
ドライマウスはすぐに治る疾患ではなく、専門外来は症状とうまくつきあっていく指導をするところとされています。
専門外来では、症状に応じて唾液分泌を増やす薬の処方、洗口剤、人工唾液などによる粘膜保護、唾液線マッサージによる唾液分泌の刺激などを指導しています。
当院では、連携病院のご紹介も承っております。ご相談ください。